レモン&シュガー誕生ストーリー

レモン&シュガーと作者の
甘くてちょっと酸っぱい創作旅

美大時代、映像作品がいくつかの国際映画祭で評価された。
アニメーション専攻ではなかったが、映画祭でたくさんの国際作品に出会い、衝撃を受けた。プロの審査員からの評価も嬉しかったが、観客賞を受賞した作品が特に印象に残った。観客が大笑いし、涙を流し、スタンディングオベーションする作品の力に心を打たれた。

異なる人種や文化を超えて心を動かす作品を見て、当時の自分にはその光景がまぶしかった。自分の作品は美しい音と映像が評価されたものの、物語性に欠けていた。そこでストーリーのある作品に挑戦することを決心した。

心を揺さぶる作品には、優れたストーリーがあるが、その物語を演じるキャラクターが必要であることに気付いた。そんな経験が、キャラクター制作会社への就職のきっかけとなった。

しかし、社会に出て忙しい日々に追われ、やりたかったことから離れていくことに気付いた。昔からわりと器用にできてしまうが、深く一つのことには続かない気質があった(最近、「マルチポテンシャライト」という言葉を知り、少し救われた)。おじいさんになるまで一つのことをやり続けているPEANUTSのチャールズ・M・シュルツさんやアンパンマンのやなせたかしさん、宮崎駿監督のような方々に憧れがあった。

子どもが物心をついてきた頃、好きなことをやっている自分の背中を見せたいと思い、仕事を続けながらもう一度挑戦する決意を固めた。デザイナーとしてのスキルを活かし、自分に新たな目標を立てた。「世界中の人々に愛されるキャラクターを創ろう」。そして、たとえ人気が出なくても、自分が楽しく続けられる作品を目指した。キャラクターは作者が辞めさえなければ生き続けることができるからだ。

しかし、再びストーリーが必要という問題に直面した。1人のキャラクターだけでは話が生まれず、少なくとも2人以上のキャラクターが必要だった。物語が進展しないような似たキャラクターではなく、対照的な設定を持つキャラクターを考案した。レモンちゃんとシュガーくんの目・鼻や、リボン・耳、輪郭などのバランスは、全て対照的にデザインされている。性格設定は最初に決めていなかったが、キャラクターたちの絵を並べると、自然と関係性が浮かび上がってきた。

大学卒業から10年が経ち、ついに一生続けていきたいと思える「レモン&シュガー」を生み出すことができた。

遠回りしたように見えるかもしれないが、独学でアニメーションを学んだ経験や、仕事で培った様々なデザインスキルが役立っている。振り返ればすべてが必要な時間と経験だった。2015年にレモン&シュガーをライフワークにする決意を固めると、不思議と多くの人が協力してくれるようになった。

この2人を通して、さまざまなことに挑戦したい。レモンちゃんとシュガーくんに素晴らしい経験をさせてあげたい、そんなワクワクする想いで常に新しいことに取り組んでいます。

2024年には、レモン&シュガーは誕生10周年を迎えます。
これからどんなストーリーが紡がれていくのか、温かく見守っていただけたら嬉しいです。

LEMONA DESIGN | あいざわだいき

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